「なぜあの人はいつも華やかな最前線にいるのだろう?」

今日はクリエイティブにおいて「最前線」にいることの必要性と、その地獄っぷりをお話しします。そしてその地獄の先にしか「楽園」がないことをお伝えできたらと。
別所隆弘 2025.08.01
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ふと思ったことはありませんか。あんなに活躍していた人が、最近あまり見なくなったな。あるいは一世を風靡していたクリエイターなのに、作品を見なくなったな。もちろんそれには多様な理由があります。本人にはどうしようもない出来事、例えば健康や家族の問題で前線を引かないではいられなかった人もたくさん見てきました。変な炎上に巻き込まれてしまって心を病んだ人もたくさん見ています。不幸にも命を失った人も数人見てきました。でも、多くの場合は本当にいつの間にか見なくなる場合が多いのです。その理由は端的で、最前線は地獄だからなんです。

僕のことをお話しします。僕もかつて、一度最前線から引こうと思った時期がありました。コロナをきっかけにクリエイティブの仕事環境が激変し、もう「最前線」の意味さえなくなると思ったのです。このままもしかしたら人類は一旦ダメになるのかもしれない。そう思い、写真も動画もほとんど撮れなくなりました。仕事自体を大幅に変えよう、フロントではなくバックヤード側に回ろう、そう考えたのです。でもその根本は、最前線を走る気力が、コロナをきっかけにボッキリ折られてしまったからだと思っています。一度心が折れたんです、あの時の僕は。そしてもしそのままだったら、今頃僕は消えている運命にあったんじゃないかと、今なら思います。

ところが2022年、Z8のプロモーションに出演させていただいたことをきっかけに、その時以降、いまのところプレイヤーとして最前線付近にいられるようになりました。「最前線」とはどこなのか?という実存的な問いはさておき、おそらく各メーカーが写真や動画の領域で「ここに未来があるだろう」と目するところ、そこを仮に最前線としましょう。そのあたりで戦い続けることができているんじゃないかと思っています。そしてその場所は、もう一度言いますが地獄なんです。

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