「写真で食べていくこと」(概論編)

今日は「写真で食べていく」がテーマです。
別所隆弘 2024.10.10
読者限定

先日、東京カメラ部のヒカリエ展示の時に、Youtube配信の方で「写真や動画で食べていくこと」というテーマで出演したんですね。東京カメラ部の10選になった時、僕はまだアマチュアもアマチュアで、何せ本格的に写真を始めて2年だったので、「食べていく」なんていう選択肢が頭にさえなかった時期でした。

あれから10年、今ではヒカリエに集まる多くの若者が、最初から仕事を視野に入れていたり、あるいはアマチュアの段階で何十万もフォロワーを抱えている人がいたり、状況は激変しています。僕自身は10選になった3年後からプロ(個人事業主)になったのですが、そのころはSNS上がりのぽっと出の写真家がプロになる道なんてほとんど存在せず、それこそ先行指標は濱田英明さんとか、永遠の僕の師匠である柄木孝志さん、同期の井上浩輝さん、僕より一年後の10選である黒田明臣さんたちの歩みを参考にしつつ、手探りで自分のキャリアを作らねばならない時期でした。参考になる道筋がほとんどなかったんですよね。

でもそれが逆に幸いしたと思うんです。それは、その頃「手探り」で自分のルートを探し続けたという経験は、状況が大きく変わるタイミングで再び自分のキャリアの先が見えなくなった時、とても役に立つことになりました。というのは、「状況が大きく変わるタイミング」というのは、必ず来るからなんです。たかだかプロとして7年のキャリアの中でさえ、大きな変動を2度経験しました。一つはコロナ、もう一つは現在、生成AIです。時代の激変は2010年代あたりから急激にその間隔を狭めてきている印象で、何年かに一度は、堅いと思っていた岩盤が根こそぎ崩壊するような経験をすることになります。これからもっとその間隔は短くなるでしょう。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、2041文字あります。
  • 1.「探す」経験をする
  • 2.フォロワーにならない
  • 3.自分の文脈を拡張する

すでに登録された方はこちら

読者限定
個展の話(1)「篝火を継ぐこと」
読者限定
「写真で食べていくこと」(実践編)
読者限定
10年も経つと色々忘れるものです
読者限定
写真家もセルフプロモーションが必要と言うけれど、本当にそれはプロモーシ...
読者限定
表現とはどういう行為なのか?(HDR動画をスタートするにあたって)
誰でも
写真家になるということはどういうことなのか
誰でも
サロンについて、大学の授業について
読者限定
動き出した夏