表現者になりたいのならば「読んでくださってありがとうございます」は書かなくていい

ウェブ記事の最後に置かれる「読んでくださってありがとうございます」に関して。表現者としての矜持の話。
別所隆弘 2025.05.13
読者限定

本を読んだとします。小説やエッセーなどですね。なんでもいいのですが、レポートや新聞記事ではなく、「表現」を企図して書かれた文章の冒頭や文末に「ここまで読んでくださってありがとうございます」と書かれている文章を、あなたは一度でも読んだことがあるでしょうか。芥川龍之介や村上春樹や伊坂幸太郎の小説の最後がお礼で綴じられている作品に出会ったことがあるでしょうか。

おそらくないと思うんです。でも、最近のウェブでの文章、特に若手の人たちの文章の結構な割合で、文末のところに「ここまで長い文章を読んでくださってありがとうございます」という、まるで強迫衝動を感じるような紋切り型のお礼が置かれている例を散見します。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、1779文字あります。

すでに登録された方はこちら

読者限定
ハイブリッドフォトグラファー論3.0
読者限定
ハイブリッドフォトグラファー論2.0
誰でも
個展を終えて、お礼とそして考えたこと。それは一冊の本を書くように。
読者限定
自分の「居場所」の話
誰でも
写真のテーマと自己欺瞞
読者限定
個展の話(4) 今回のトークにかける密かな熱意
読者限定
個展の話(3) アキレスのカメを追い抜くこと
読者限定
個展の話(2)「体験する展示」と舞城王太郎『煙か土か食い物』について